研修2年目の研修医の話
大学時代の友人で、今年で2年目になる研修医と会って色々と話をしました。
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-医療で機械化が進む気がするけど、それによって仕事がなくなったりだとか、そのあたりは気にならないか。例えば放射線診断は機械のパターン認識が活きる分野だと思うんだけど。
⇒むしろ現状は放射線科医自体が頑張って機械化を進めようとしている。完全に需要過多でどんどん機械にできそうなことは機械にやってもらわないと医療の現場が回っていかない印象を受ける。理想状態かつ健康な状態での診断こそ機械が活きる領域で、まだ機械が弱い分野にこそ人間が介在する余地があるように感じる。例えば緊急で運ばれてきた患者で暴れ回る中でのCTの撮影とか。患者によって挙動が異なったりする読影は機械にはきわめて難しく、このような分野が機械によって代替されることはしばらくなさそう。もし機械に代替されるようになったら、その時はこの世の中にあるほとんどの仕事が代替される気がするから、その時は仕方がないんじゃないか。
-どのような診療科に興味があるの?
⇒今の所はまだ未定ではある。ただできれば患者さんの痛みをできる限り取り除ける環境がいいと思っている。例えば患者さんの痛みを10段階で10がmaxだとすると、感染症だとかは痛みが10の状態で来院されるけど、帰って行くときは0の状態で退院される。そのような瞬間は嬉しいので、それを多く経験できたりするといいかなと思っている。
一方で、痛みが8の段階から最善を尽くしても6〜5くらいまでしか対処できないような診療科も当然存在する。たぶんだけど、例えば神経内科などはそういった傾向にあるような気がする。自分はどちらかというと前者の方が自分の志向にあっているのでそういった診療科に進みたいと思う。
-僕は将来的にリハビリテーション科に進みたいなぁと思っているんだけど、どう思う? 出来れば今までの社会人経験を何らかの形では活かしたいと思うし、患者さんの社会的な背景だとかその人の思考・性格だとかいった直接は目に見えない領域にも気を配れてそれが仕事にも直結できる診療科がいいと思って。それにこれから間違いなく高齢者が増えるに従って需要は増加していく気がするけど、あまりリハ医になりたいという先生が少ないような気もしていて、そういった意味では再受験で医師になっても最前線で活躍できる機会が他の診療科より大きいのかなと。
⇒いいと思う。たしかにリハビリテーション科はそういう配慮が大事になってくるし、外科と違って年齢によるハンデは少ないのかも。ちなみに自分自身はあくまで手術に関することにのみ100%集中して医療行為に従事したいタイプではあるから、そちらの分野はどちらかというとそういった観点への配慮が上手い先生に任せたい。もちろん全く患者の背景について考えないという訳ではないが。それに間違いなく需要は高まりそうだから、社会的に求められている気はする。ただ、いきなりリハ医の研修ってあまり見ない気がするから、もしかしたら一旦整形外科や神経内科だとかに入って専門を積んでからリハ医になる人が多いのかもしれない。その辺りはよくリサーチしてみた方がいいかも。
-将来のキャリア考える上で何かアドバイスとかある?
⇒まぁまだ専門を決めるまでに時間はあるからじっくりと自分のやりたいことに向き合っていけばいいと思うけど、時間的に余裕があるなら実際の病院で何らかのアルバイトをすると良いかも。たしか大学病院で実習してた時に他の大学の医学生が病院内でアルバイトしてたから、頼めばアルバイトさせてくれる気がする。もちろん医療行為はできないが。医学部の教育はまず分子レベルの学習から始まっていくから、入学当初の目的を見失いやすい時がある。たぶん骨格が曲がる原理や目が見える理屈みたいなことを習うまでにかなり時間がかかる。そうなってくると、何のために今勉強をしているかを忘れてしまう時があるので、そうならないためにも実際の現場で働いてみるといいかも。
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こんな感じの話をしました。忙しい中ありがとう!
僕はなぜ医師を志したか。
僕が医師になろうと決意したのは2014年の夏でした。2014年の前からうっすらと考えてはいたが、時間が経つにつれ、徐々にその熱が増してきた。これはもう自分のやりたいことなんだろうと思っていいだろう、と考え、現在に至ります。
今はとても高いモチベーションを持っていますが、いづれ来るかもしれない倦怠期に備えて、なぜ僕が医師として生きていきたいと思ったのかを記しておきたい。
■自分が仕事を通じて鬱病になった
僕は一社目に勤務した会社で鬱病にかかった。本当に苦しい時期だったと思う。それまでごく健康に育ってきて、心がぽきんと折れたことなんてなかった。だけど実は、人はそんなに強くない。心身が健康でなければ、普通に生活していくことだって難しい。これを実感したことが僕を医師という仕事を志したきっかけだと思う。
■自分の大切な人も病気で苦しんでいたのに積極的なサポートができなかった
僕にとって大事なパートナーも僕と同じく苦しんでいた時期があった。ずっとに一緒にいたから、多少なりとも心の支えにはなれていたと思う。だけどやっぱり、それだけだと限界はある。僕に病気で苦しんでいる人を治せる知識や技能はない。「ああ、僕は無力だ・・・。」自分の大事な人の支えになれても、それを治してあげることはできない。当然と言えば当然だけど、それが僕には我慢がならなかったのだ。
■そういった経験を今後の人生を懸けて活かしたくなった
僕は今までの人生でそこまで何かに強烈な経験というものをしたことがなかった。だから、上に書いたような経験は僕にとっては価値観を変えるのに十分な出来事だったのだ。もしも出来るなら、心身の病で苦しんでいる人たちの苦しみや悩みを取り除いたり、和らげたりするサポートをしたいと思った。
ここからはどちらかというと、個人的な趣向だとか今後の経済動向とかを考えての話になるような気がする。
■専門的な技能や知識を身につけて働いていきたかった
今後僕たちは、残念ながら昔のような経済成長が見込めない中で生活をしていかないといけない。そうなると当然、企業が人材をずっと抱えていく終身雇用なんて期待できるはずがない。それを想像したら怖くなった、というのも大きな要因の一つだ。企業の中で安定して収入を得ていこうと考えると、経営者のような雇用を生み出していくポジションになるか、徹底して磨きあげたスキルを持つ専門職のポジションになるかしか道はないと思った。だけど、僕は残念ながらあまり経営者としてやってくようなタイプに見えなかったのだ。だから、残る一つのポジションとして専門的なスキルを持つ必要があると思った。
■勉強したことがそのまま日頃の業務に直結するような仕事に憧れた
僕が2社目に入った会社では、残念ながらあまり勉強して知識を取り入れてそれを業務に活かす、という文化がなかった。とにかく売れればokだし、それが結局自分の能力になる、という考えだったように思う。でも、僕はそれになじめなかったのだ。自分で言うのもなんだけど、僕はけっこう勉強することが好きだ。仕事をしていく中で、体系的に積み上がったものをキャッチアップして着実に出来ることを増やしていきたい、という志向を持っていることに改めて気付かされた。
■将来にわたって需要が見込める可能性が高い
最近は機械が人間の雇用を奪う、という論調が強いので医療という分野でもあまり確実に需要があるとは言えないと思うけれども。人が生まれて生活を営んでいく限り、何かしらの不具合は発生するのは変わらないと思う。そういう意味で、将来的にも仕事があるのではないかと思っている。
■もう一度大学で徹底的に勉強したかった
これは完全に個人的な欲求になるのだけど、もう一度大学で学問を修めたいと思っていた。恥ずかしい話だけど、僕は最初に入った大学ではあまり良い学生ではなかった。別に留年をしたり赤点ぎりぎりの成績を取ったりした訳ではなかったけれど。学問以外の課外活動に熱中し、あまり熱心に勉強しなかった。(おかげであるスポーツで全国ベスト8に入る腕前にはなったけれど。)僕にはこれが心残りだった。
医学部合格のためのおすすめの勉強法【英語】
最後に英語について。
英語はやるべきことが多いので、出来るだけ早めに取り組むべき科目です。おそらく理系科目と違って、徐々にしか伸びていかないためです。
いくつかの項目に分けて紹介します。
■単語熟語
①ユメタン0〜3
②ユメジュク
③DUO3.0
基本的に、ボキャブラリーはあればあるだけ良い、という認識を持って下さい。特に点数が安定しやすい英語で他の受験生と遅れをとってしまうとなかなか挽回が難しいという現実がある以上、高校で学ぶ英語の語彙においては最高レベルまで高めておいた方が無難です。個人的にはユメタン、ユメジュク定期的に暗記してしまいましょう。その上で一冊を徹底的に暗記する教材として、DUO3.0を使います。リスニング教材としても優れていますので、2日に1回1周する程度のスピードで繰り返します。
■英文法
④フォレスト
⑤ネクステージ
英文法としてはフォレスト、ネクステージの2つをやり込めば基本問題ありません。(私立医学部はこの限りではありませんが。)
フォレストを2周ほど通読し、その後にネクステージを2〜3回ほどやりましょう。
この二冊の英文法は読解の土台になってくるので、ボキャブラリーと共に早めに習得することを薦めます。
■英文解釈
⑥英文読解入門 基本はここだ!
⑦英文解釈の技術100
⑧ポレポレ英文読解プロセス50
英文解釈は⑥〜⑧の順にやるのがよいと思います。システマティックに英語の構造を掴む練習には西きょうじ先生の著作がベストだと思いますが、⑥から⑧に進むとかなり英文の難易度のギャップがあるので間に英文解釈の技術を挟むとスムーズに行くでしょう。
■長文読解
⑨パラグラフリーディングのストラテジー1 読み方・解き方編
⑩基礎英語長文問題精講
⑪英語長文問題精講
⑫灘高キムタツの国立大学英語 リーディング超難関大学編
⑬灘高キムタツの私立大学英語 リーディング超難関大学編
■英作文
⑭大学入試英作文ハイパートレーニング 和文英訳編
⑮大学入試英作文ハイパートレーニング 自由英作文編
⑯竹岡広信の英作文が面白いほど書ける本
■リスニング
⑰DUO3.0
医学部合格のためのおすすめの勉強法【化学】
今回は物理に引き続き、化学のおすすめ参考書を書いていきたいと思います。化学は2パターンの例を上げてみます。
【その1】
一つ目はとにかく大量の演習量をこなし、ありとあらゆる問題パターンを網羅することを目指すものです。医学部受験で化学を得点源にしたい人はこちらの方がいいとは思いますが、いかんせん量も質も膨大なので元々化学が好きな人以外にはすすめられないかもしれません。
① 鎌田の理論化学の講義、福間の無機化学の講義、鎌田の有機化学の講義
②-A 化学の新標準演習
③-A 化学の新演習
【その2】
二つ目のパターンは標準問題からやや高度な発展問題を効率よく習得することを目指すものです。こちらの方がその1よりもかかる時間は少ないと思います。欠点としては、最高難度の問題の網羅性にやや欠けることです。ただし、このレベルだと確実に解けなくても合否に関係しないこともままあるので、あまり気にならないと言えば気になりません。
① 鎌田の理論化学の講義、福間の無機化学の講義、鎌田の有機化学の講義
②-B 化学(化学基礎・化学)入門問題精講
③-B 化学(化学基礎・化学)基礎問題精講
④-B 化学(化学基礎・化学)標準問題精講
⑤ 重要問題集
医学部合格のためのおすすめの勉強法【物理】
前回の数学に続き、物理のおすすめ参考書の組み合わせを紹介します。
物理は様々な有名講師が参考書を出しているので、基本的には解説が自分とフィットしていると感じるものをやるのが一番良いと思います。僕のおすすめとしては浜島先生ですが、これは個人差があると思います。「効率的に解く」「テクニックを駆使する」という考えが好きな人には合うと思いますし、いわゆる標準問題を出題する大学とは相性が良いと思います。
具体的な流れは下の通りです。
①物理のエッセンス
②良問の風
③名門の森
④体系物理
①物理のエッセンス
一通り通読した後、問題をひたすら解きます。基本的な内容の問題はこの2冊で全て網羅出来るので、分からない問題が0になるまで繰り返しやりましょう。その際にどのようなテクニックが絡んでくるのかを意識することが重要です。
②良問の風
入試問題の標準問題が揃えられています。問題数は約150問程度。
標準題しか出題されない大学であればこの参考書までで十分合格点に届くレベルの問題集です。代表的な解法はある程度網羅されているので、しっかりとインプットすることを意識して解いていきます。
③名問の森
入試におけるハイレベルな典型問題が揃えられています。物理を得点源にしたい時はここまでをこなしておくことをおすすめします。このレベルの問題は基礎事項が複雑に絡まりあっている現象を扱うことが多いので、複雑さの「解きほぐし方」を習得するように意識してください。
④体系物理
①〜③までのインプットを確かめる参考書として使うのにベストの参考書です。高校物におけるほぼ全ての状況設定が網羅されています。医学部受験では「いかにミスなく、素早く問題を解けるか」が重要になってきますが、その要望に十二分に応えてくれる参考書です。
医学部合格のためのおすすめの勉強法【数学】
昨日までに過去一年間でやった大まかな参考書を振り返っていました。ご覧になった方は分かるように、僕は復習が極端に苦手(というよりモチベーションが続かない)です。
受験において「悩むばかりで何もしない時間」というものが一番無駄だと考えているので、その時間があるのであれば、一冊でも多く解こう、というのが僕の採った受験戦略でした。
ただ基本的にはこのような戦略を採ることはあまりおすすめできないと思います。勉強を進めていく中でもっと一冊を徹底的に仕上げていた方が良かったのではないか、と思うことがままありました。
そこで今回は自身がやった様々な参考書や受験が終わってから眺めていた参考書を紹介しつつ、僕が理想だと思っている参考書の組み合わせを紹介したいと思います。
※以下に紹介するのは前提として高校での授業は履修した、という位の学力を前提としています。もし全くの未履修の場合はもっと基礎的な所から学習を始める必要があると思います。そういった方でも質問があれば気兼ねなく質問してください。答えられる限り答えたいと思います。
まずは数学から。
下記の番号の①〜④の流れに沿って勉強を積んでいけば大半の国立医学部の合格点を取れる程度の実力は確保出来ます。ただし、おそらくここまでの勉強で合格点に持っていけるのは旧帝大学や単科医、医学部専用の問題を出す医学部を除いた大学になります。もしもそれ以外の大学を目指そうと思うのであれば、更に⑤〜⑥のレベルまで取り組んだ方がいいでしょう。
それでは①から順に説明をしていきます。
いわゆる「黄チャート」と呼ばれるものです。このレベルの問題は高校数学の土台となるので、分からない問題がなくなるまで繰り返し解き直します。ただし、繰り返し解く箇所は例題のみで十分でしょう。(発展的な演習は②以降の参考書で十分取り組むことになります。)
大学への数学シリーズの基礎〜入試基礎レベルの問題を扱っている参考書です。黄チャートの例題が一通り終了した段階で取り組むのがよいでしょう。また、この段階ではまず例題のみを解くだけで十分です。おそらく黄チャートの例題からだと半分くらいは手こずる問題になると思いますので、少し悩んで解法が分からなければどんどん答えを見て解法を覚えてきます。
③ハイレベル数学1A 2Bの完全攻略、ハイレベル数学3の完全攻略
この参考書は入試典型題〜難しめの標準問題を扱っている参考書です。1対1対応の演習の例題が終わった段階で取り組んでみるのが良いと思います。ただしこの参考書は1対1対応の演習の例題を終えたばかりのレベルだと、かなり難しく感じると思います。ですが、このフェーズではまず20分程度は自分の力で思考してから取り組むことをおすすめします。
数学の試験で合格点を取るには、解法のストックを増やしていくと同時に、覚えた解法を頭の中で類型化し、それを自由自在に取り出していく力を高めていく力も必要だからです。それをトレーニングするのにこの参考書は最適です。またこの参考書は問題数自体は1冊40題程度ですが、各問題に簡易な類題が3題程度含まれているので、それも確実にこなしていきます。
③まで終了すれば大半の大学の数学の問題に対応できるだけのインプットが終了していると言っていいと思います。ここまで来ればあとはひたすらアウトプットの練習になります。1対1対応の演習についている演習題はその練習に最適です。実際の入試問題のような気持ちでひたすら解きます。解ければもう解かなくてOKです。解けなければ見た瞬間に解法が浮かぶようになるまで復習します。
これらの参考書は基本的に難しい問題への思考訓練のためのものだと考えた方がいいと思います。旧帝大学医学部を目指している人は上記のいずれかまで取り組んだ方が望ましいと思います。(僕自身は模試で大阪大学医学部B判定が最高値でしたので、これ以上のレベルになると正直何をすれば良いか分かりません)
このレベルの問題集に取り組む人であれば特にやり方を指定する必要はないと思います。ひたすら解き続けましょう。