卒後7年目の医師の話

卒後7年目の女性医師(麻酔科医)とお話する機会があったので、メモとして記録しておきたいと思う。

 

■卒後5年は徹底的に技能を磨き、苦労を重ねよ

最初にとにかく頑張っておくべきである。最初は辛いが、それを乗り越えると自分の臨む働き方や身につけたい技能に合わせて職場を選択できるようになる。それまではひたすらやり切るしかない。そのためにはある程度の規模の病院で、高い技能をもち、プロフェッショナリズムを持った医師のいる職場を選ぶべき。忙しさもいとわないという姿勢が大事。病院によっては、低い倫理観のもと、かなり雑な処置をしているような医師しかいない病院もある。そういう所で最初にキャリアを積んでしまうとキャリアが詰む。

 

■尊敬できる医師の下で、プロフェッショナリズムを身につけよ

将来進みたい診療科に限らず、尊敬できる医師を見つけ、医療のプロとして働く姿勢を身につけていく必要がある。自分の例で言うと、循環器内科の先生がそうだった。循環器内科を専門にすると、その特性上、悪性腫瘍の判断がつきかねるというケースがたまにあるが、その先生は悪性腫瘍の判断が適切で見逃しが一切なかった。だから他科の先生からの信頼も厚く、その先生から診察を依頼されたらまず優先的に持ってくるように、という指示まで飛ぶようになった。この先生のように、高い技術と他科のドクターとの協力体制を築き、患者のために身を尽くせるようにならなければならない。

 

■僕に向いている診療科は?

意外と放射線科とかは向いているかもしれない。あの科の先生たちは本当に頭がいい人たちが多く、まず最初の治療判断をする科なので、スマートな人たちが集まっている印象がある。そういった点で向いている気がする。また、診断医であれば働き方も比較的決めやすいという側面もある。ちなみに画像診断が完全にとって変わられることは少ない印象を受ける。理想状態での比較であれば機械が出来ることが広がってくると思うが、医学には破格というものがあり、その判断を機械がするようになるとは(今のところは思えない。)

参考: http://www.cellbiology.jp/education/education1.html

 

■他の診療科について

まず自分の専門である麻酔科だが、自分の印象では上昇思考が強い男性医師は向いていない気もする。外科医の下支えという印象を持っている医師も多いため、そのあたりを上手くかわしながら場をやりくりしていく必要があるが、そういった役割は何となく女性の方が向いているという印象がある。また、ある程度ルーティンワーク化してくる傾向は否めない(もちろん一回一回違いはあるが)ので、決まった作業が嫌だ、と思う人には向いていないかも。また、自分は一時期呼吸器内科も検討していたが、選ばなかった。その理由は専門範囲と診療範囲の責任の齟齬が大きいと判断したから。例えば当直であれば循環器内科だろうが呼吸器系の疾患も見る必要が出てくる。一方で例えば整形外科であれば整形以外の疾患は他の専門の外科に回しやすいという雰囲気がある。もちろん簡単な診療はできるのだろうが、自分の専門の範囲外の責任をそう簡単に背負うことは出来ないし、患者のためにもならないと思ったので、専門の範囲と責任の範囲が出来るだけ一致するような診療科を検討したら麻酔科医に行き着いた。

 

■もっと詳しく教えてください

他の診療科で例えばリハビリテーション科や緩和ケアなどといった診療科は、今のところは若干第二のキャリアとして意識されているというのは否めない。例えばリハビリテーション科であれば、整形出身の人が家庭の事情やワークライフバランスを考えて、といったケースが実際に多いらしく、周囲の医師もそのように認識しているというのが現状ではある。もしこういった科に進むのであれば、そのような見え方になる、ということは知っておいた方がいいかもしれない。